「宵闇の出会い」
夜、悠木は生きていた
「ア、ア、ア、」
「ひどい有様だね」
「本っ当に御免なさい!お姉ちゃん!兄さん!」
「彩コワイ、彩コワイ、彩コワイ、彩コワイ・・・」
「あーらら、こりゃ重症だ」
「やりすぎちゃった。つい楽しくて」
彩はばれないように少しだけ笑った
「え?なんか言った?」
「ううん、何も」
「いやあ丸いのが、丸いのがくるぅ」
「幻覚でも見てる?何したの?」
「えーと、兄さんは起きない?」
「うん、大丈夫だと思うよ」
「じゃ、耳貸して」
「うん」
ごにょごにょごにょ
「・・・・・」
「・・・・・(汗)」
「ガクガクブルブル」
急に雪奈は震えだした
「ちょ、お姉ちゃん!?」
「彩、あなたそれ立派な拷問よ。もしくは虐待・・・」
「そ、そんなにひどいこと?」
「もち!!!」
雪菜はものすごい大声で叫んでいた
「ただいま」
音もなくドアが開いた
あらわれた人物は 南条 俊也
「うおう!びっくりしたぁ」
「お帰りなさいお父さん。お願いですから音もなく部屋に入ってこないでください」
「うんうん」
雪奈もかなり同意している
「どうしたんだ、雪奈、叫んだりして、玄関まで聞こえてたぞ」
華麗にスルーした
「ああ、それは・・・」
「気にしないでください、お父さん」
彩が笑いながらそんな事を言った。かなり怖い笑みである
「ん、ああ」
俊也の目が悠木に向く
「悠木はどうしたんだい、とても震えているが。彩が何かしたのか?」
「さすが父さん。スルドイ」
「気にしないでください」
「ん、ああ」
また怖い顔で彩が言った
「何かしたのか悠木に・・・。まあ多分悠木が悪いと思うが。雪奈も何かしただろう」
「ハイ、しました、ごめんなさい」
「うん、ちゃんと謝ったからOK。許そう。だけど少しは反省しなさい」
「ハイ、すみませんでした」
俊也はちゃんと謝ったら許す人である。程度にもよるが
「さて、彩、本当に何もしてないんだな?」
これが最後の忠告とばかりに俊也の声は低い
「嘘つきました。ごめんなさい、お父さん」
「よし。ちゃんと謝ったな。で?何したんだ?」
「えーと」
ごにょごにょごにょ
「・・・よく生きてたな、悠木は」
「そこはまあ母さんに似たんだと思うけど」
「ああ、確かに。若菜はどれだけ傷ついても立ち上がったからな・・・」
「うんうん。あれはすごかったよね」
「ああ。やっぱり受け継いだのか悠木は・・・」
「うん。多分この一家で一番色濃く受け継いでるのは悠木だと思うよ」
「ああ。・・・いや、あれは受け継いでいる<力>もあるが悠木自体の<力>も強い。この一家の中で一番」
俊也と雪奈はよく分からない会話をしている
「えーと、お姉ちゃん、お父さん、お母さんと兄さんってそんなにすごいの?」
「「うん」」
二人同時に言った
「そうなんだ。だけど私お母さんのことよく知らないし、兄さんが凄いかどうかなんて今もまだ一緒にいるけどよく分からないよ」
「ああ、うん。それは仕方ないよ、彩はまだ赤ちゃんだったし」
この一家の根元ともいえた人物 南条 若菜
「悠木はお母さんにべったりだったしなあ」
「うん。お父さんがお母さんに近づいていっても追い返されたもんね」
「そんなにべったりだったんですか兄さんは」
彩は少し呆れた様に喋った
「雪奈も母さんに似たんだな」
「私が?」
「ああ、悠木は母さんが死んでから雪奈にべったりだったろう」
「ああ、確かに・・・。だけど、あの時期はひどかったね」
「・・・すまない、その話はしないでくれ」
「あ、と、ごめん」
「?だけど兄さん、そんなに凄いとは思わないんですけど。普通の高校生に見えますよ?」
「その時が来たらわかるよ」
「うん、その時が来たらね」
二人はとても真剣な顔をしていた
「ハイ、わかりました」
なので彩も真剣に答えた
「う、ぐ・・・」
悠木が呻いた
そしてモゾモゾと動き始めソファから少しずつ移動し
ドテーン!
「おうふっ」
背中を強く打ち付けた
「いってえ」
「プ、ク、ク」
雪奈は笑いをこらえていた
「ふむ」
俊也は嘆息し
「ハァ・・・」
彩は溜息をついた
「いっつ~~~」
悠木は背中を押さえていたが急に立ち上がりあたりをキョロキョロ見回した
「丸い物はないな?・・・ないな。フゥ~~、よかった、夢か」
「プ、ク、ク、ア~ッハッハッハッハッハッ」
「うおっ」
「アハハハハハハハ、ソファーから落ちるって、アンタどんだけドジなのよ」
雪菜はかなり爆笑していた
「俺、何かしたか?」
悠木は急に雪奈に笑われてかなり戸惑っている
「なにかしたから雪奈はこんなに笑っているんだろう。急に笑い出すほど雪奈はおかしくないよ」
「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」
まだ雪奈は笑っている
それに比べ、彩はかなり冷たい目で悠木を見ている
「兄さんは本っ当に反省というものをしてないようですね」
かなり怒っている
「彩サ~ン?何ソンナニオコッテルンデスカ~?」
「何かしたから彩は怒っているんだろう」
悠木はかなり震えている
「もう一回、あれをしてあげましょうか?兄さん」
「あ、はは・・・」
「・・・ふむ」
雪奈と俊也は急に静かになった
しかし悠木は違った
「アレ?・・・アレって何だ?」
「「ッ・・・!」」
「忘れたんですか?兄さん?だったら思い出させてあげます・・・」
「わす・・・れた?っ・・・何だ?頭、が・・・」
「悠木!!」
雪奈は叫んでいた
「少し、外を歩いてきなさい、悠木。ゆっくり思い出すんだ、いいね?」
俊也は優しくそう言った
「うん、分かった」
「無理、しないでね・・・悠木」
「大丈夫だよ、雪姉」
雪奈は今にも泣きそうな顔になっていた
「じゃ、行ってくる」
ドアが閉まる音が聞こえると彩は俊也に聞いた
「・・・お父さん、兄さんには何があるんですか?」
「やはり、彩にも知ってもらわないとな・・・」
俊也は真剣な顔をしていた
「(こんな顔のお父さん見た事ない・・・)」
「この家族のこと、母さんと私、雪奈、そして悠木の事を」
「だけど、本当の事を知っても、絶対に悲しまないでね・・・」
「っ・・・。それは約束できません」
「それでいい彩。それが正しい反応だ」
「それじゃ、話すね」
「ハイ・・・」
―――――――――
悠木は外を歩いていた
「フゥ・・・。くそ、何だ?頭が痛い」
悠木は考えていた
「(なんで父さんは俺を外に出したんだ?ゆっくり思い出せ?何を?だけど、何だ?この頭の奥にある熱さは)」
悠木は夕方からの記憶をたどる
「(えっと、帰ってきて、雪姉と話して、微妙な空気になって、彩が帰ってきて、彩をからかって、そして目を覚まして、この状況)」
悠木は気づいていない。記憶の中から一つの記憶が消えていることを
「(だけど・・・何だ?何か頭から抜けている気が・・・。くそっ、思い出せ、俺)」
しかし思いだそうとすると、悠木の頭は急に熱くなる
「ヅアッ・・・」
あまりの痛みに悠木は一旦考えるのをやめた
「痛、何々だ・・・?」
ブオンッ
「うわっ」
急に目の前が真っ暗になったかと思うと、
「何だ?」
人が走っていた
「危ないな、当たったらどうすんだ・・・って、ん?」
あの髪の色はこの前悠木が見た人の髪の色だ
「この前も走ってたな、あいつ」
かなり急いで走っている。何かから逃げるように
「すみません」
「うおわっ」
いきなり悠木は後ろから声をかけられた
足まで届くほどの髪の長い女の子だった
「黄緑の髪の色をした女の子が来ましたか?」
「あ、はい、女の子かどうかはわかりませんが、さっき目の前通って行きましたよ」
「・・・・・・・・・・ありがとうございます」
「(何だ?今の間は・・・?(汗))」
悠木は女の子が自分を見ているのに気づいた
「何か?」
「・・・強いけど弱いですね、あなたは」
「は?」
「まぁ、まずは記憶を思い出させ、対処法を教え、あとは力に目覚めてくれれば・・・」
悠木は全く状況を分かっていない
「仕方ありません、風華を追いかけるのは諦めましょう」
「風・・華?」
悠木は頭の奥が熱くなるのを感じた
「熱、痛」
「!・・・あなたは風華を知っているの?」
「い、たい。あつ、い」
「なるほど、かなりひどい状態のようね。早く何とかしないと・・・」
あまりの痛みに悠木はもう相手が何を言っているのかわからない
「誰か、助け、て」
「早く始めないといけないようね」
少女は大きく空気を吸い込んだ
少女の腕が光り始めた
「an encounter men's minds in a secret memory now forget thing without ―出会え 人心に秘められし記憶よ そして忘れる事なかれ―」
少女が呪文を言い終えると悠木の頭の痛みは急に消えていった
「ハァッ、ハァッ・・・」
「よし、これでOK」
「ハ、ア」
「私の声が聞こえる?」
少女が問うてきたので悠木は頷いた
「ああ・・・」
返事もしたことに少女は驚きながらも話を続ける
「あと数分もしたらあなたは記憶を思い出す。私の名前は飛龍 白。あなたは?」
「え?」
「・・・名前を聞いてるの。早く答えてくれる?それとも自分の名前まで忘れちゃった?」
「む・・・名前ぐらい覚えてるよ、ってあれ?」
悠木は自分が何か忘れている事に気付いていた。忘れていることが自然に思えるぐらい
「そう。だったら早くしてくれない?」
「南条悠木だよ。これでいいか?」
「・・・・・・・・中々のようね。それと、少しずつだけど貴方の周りは動いている。その事に早く気づかないと貴方は後悔することになるわよ。この言葉を覚えているといいわ」
「?」
「今はわからなくてもいい。それと、家族は大切にしなさいよ。貴方の家族のお陰で貴方は今まで生きてこれたんだから。それじゃあね」
「(結局何だったんだ?あいつは。飛龍白か・・・。多分あいつのおかげで記憶を取り戻したんだと思うけど。また、会うのかな?それとあの女の子の名前は風華、か)」
悠木はまだ気づいていない、この夜の出会いが後に悠木自身そして周りの運命を変えることに
悠木はまだ分からない、この言葉の意味を。言葉の意味を知ったとき、悠木はどうなるのか
―そして動き出す、彼らの、止まっていた時間が―
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「ア、ア、ア、」
「ひどい有様だね」
「本っ当に御免なさい!お姉ちゃん!兄さん!」
「彩コワイ、彩コワイ、彩コワイ、彩コワイ・・・」
「あーらら、こりゃ重症だ」
「やりすぎちゃった。つい楽しくて」
彩はばれないように少しだけ笑った
「え?なんか言った?」
「ううん、何も」
「いやあ丸いのが、丸いのがくるぅ」
「幻覚でも見てる?何したの?」
「えーと、兄さんは起きない?」
「うん、大丈夫だと思うよ」
「じゃ、耳貸して」
「うん」
ごにょごにょごにょ
「・・・・・」
「・・・・・(汗)」
「ガクガクブルブル」
急に雪奈は震えだした
「ちょ、お姉ちゃん!?」
「彩、あなたそれ立派な拷問よ。もしくは虐待・・・」
「そ、そんなにひどいこと?」
「もち!!!」
雪菜はものすごい大声で叫んでいた
「ただいま」
音もなくドアが開いた
あらわれた人物は 南条 俊也
「うおう!びっくりしたぁ」
「お帰りなさいお父さん。お願いですから音もなく部屋に入ってこないでください」
「うんうん」
雪奈もかなり同意している
「どうしたんだ、雪奈、叫んだりして、玄関まで聞こえてたぞ」
華麗にスルーした
「ああ、それは・・・」
「気にしないでください、お父さん」
彩が笑いながらそんな事を言った。かなり怖い笑みである
「ん、ああ」
俊也の目が悠木に向く
「悠木はどうしたんだい、とても震えているが。彩が何かしたのか?」
「さすが父さん。スルドイ」
「気にしないでください」
「ん、ああ」
また怖い顔で彩が言った
「何かしたのか悠木に・・・。まあ多分悠木が悪いと思うが。雪奈も何かしただろう」
「ハイ、しました、ごめんなさい」
「うん、ちゃんと謝ったからOK。許そう。だけど少しは反省しなさい」
「ハイ、すみませんでした」
俊也はちゃんと謝ったら許す人である。程度にもよるが
「さて、彩、本当に何もしてないんだな?」
これが最後の忠告とばかりに俊也の声は低い
「嘘つきました。ごめんなさい、お父さん」
「よし。ちゃんと謝ったな。で?何したんだ?」
「えーと」
ごにょごにょごにょ
「・・・よく生きてたな、悠木は」
「そこはまあ母さんに似たんだと思うけど」
「ああ、確かに。若菜はどれだけ傷ついても立ち上がったからな・・・」
「うんうん。あれはすごかったよね」
「ああ。やっぱり受け継いだのか悠木は・・・」
「うん。多分この一家で一番色濃く受け継いでるのは悠木だと思うよ」
「ああ。・・・いや、あれは受け継いでいる<力>もあるが悠木自体の<力>も強い。この一家の中で一番」
俊也と雪奈はよく分からない会話をしている
「えーと、お姉ちゃん、お父さん、お母さんと兄さんってそんなにすごいの?」
「「うん」」
二人同時に言った
「そうなんだ。だけど私お母さんのことよく知らないし、兄さんが凄いかどうかなんて今もまだ一緒にいるけどよく分からないよ」
「ああ、うん。それは仕方ないよ、彩はまだ赤ちゃんだったし」
この一家の根元ともいえた人物 南条 若菜
「悠木はお母さんにべったりだったしなあ」
「うん。お父さんがお母さんに近づいていっても追い返されたもんね」
「そんなにべったりだったんですか兄さんは」
彩は少し呆れた様に喋った
「雪奈も母さんに似たんだな」
「私が?」
「ああ、悠木は母さんが死んでから雪奈にべったりだったろう」
「ああ、確かに・・・。だけど、あの時期はひどかったね」
「・・・すまない、その話はしないでくれ」
「あ、と、ごめん」
「?だけど兄さん、そんなに凄いとは思わないんですけど。普通の高校生に見えますよ?」
「その時が来たらわかるよ」
「うん、その時が来たらね」
二人はとても真剣な顔をしていた
「ハイ、わかりました」
なので彩も真剣に答えた
「う、ぐ・・・」
悠木が呻いた
そしてモゾモゾと動き始めソファから少しずつ移動し
ドテーン!
「おうふっ」
背中を強く打ち付けた
「いってえ」
「プ、ク、ク」
雪奈は笑いをこらえていた
「ふむ」
俊也は嘆息し
「ハァ・・・」
彩は溜息をついた
「いっつ~~~」
悠木は背中を押さえていたが急に立ち上がりあたりをキョロキョロ見回した
「丸い物はないな?・・・ないな。フゥ~~、よかった、夢か」
「プ、ク、ク、ア~ッハッハッハッハッハッ」
「うおっ」
「アハハハハハハハ、ソファーから落ちるって、アンタどんだけドジなのよ」
雪菜はかなり爆笑していた
「俺、何かしたか?」
悠木は急に雪奈に笑われてかなり戸惑っている
「なにかしたから雪奈はこんなに笑っているんだろう。急に笑い出すほど雪奈はおかしくないよ」
「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」
まだ雪奈は笑っている
それに比べ、彩はかなり冷たい目で悠木を見ている
「兄さんは本っ当に反省というものをしてないようですね」
かなり怒っている
「彩サ~ン?何ソンナニオコッテルンデスカ~?」
「何かしたから彩は怒っているんだろう」
悠木はかなり震えている
「もう一回、あれをしてあげましょうか?兄さん」
「あ、はは・・・」
「・・・ふむ」
雪奈と俊也は急に静かになった
しかし悠木は違った
「アレ?・・・アレって何だ?」
「「ッ・・・!」」
「忘れたんですか?兄さん?だったら思い出させてあげます・・・」
「わす・・・れた?っ・・・何だ?頭、が・・・」
「悠木!!」
雪奈は叫んでいた
「少し、外を歩いてきなさい、悠木。ゆっくり思い出すんだ、いいね?」
俊也は優しくそう言った
「うん、分かった」
「無理、しないでね・・・悠木」
「大丈夫だよ、雪姉」
雪奈は今にも泣きそうな顔になっていた
「じゃ、行ってくる」
ドアが閉まる音が聞こえると彩は俊也に聞いた
「・・・お父さん、兄さんには何があるんですか?」
「やはり、彩にも知ってもらわないとな・・・」
俊也は真剣な顔をしていた
「(こんな顔のお父さん見た事ない・・・)」
「この家族のこと、母さんと私、雪奈、そして悠木の事を」
「だけど、本当の事を知っても、絶対に悲しまないでね・・・」
「っ・・・。それは約束できません」
「それでいい彩。それが正しい反応だ」
「それじゃ、話すね」
「ハイ・・・」
―――――――――
悠木は外を歩いていた
「フゥ・・・。くそ、何だ?頭が痛い」
悠木は考えていた
「(なんで父さんは俺を外に出したんだ?ゆっくり思い出せ?何を?だけど、何だ?この頭の奥にある熱さは)」
悠木は夕方からの記憶をたどる
「(えっと、帰ってきて、雪姉と話して、微妙な空気になって、彩が帰ってきて、彩をからかって、そして目を覚まして、この状況)」
悠木は気づいていない。記憶の中から一つの記憶が消えていることを
「(だけど・・・何だ?何か頭から抜けている気が・・・。くそっ、思い出せ、俺)」
しかし思いだそうとすると、悠木の頭は急に熱くなる
「ヅアッ・・・」
あまりの痛みに悠木は一旦考えるのをやめた
「痛、何々だ・・・?」
ブオンッ
「うわっ」
急に目の前が真っ暗になったかと思うと、
「何だ?」
人が走っていた
「危ないな、当たったらどうすんだ・・・って、ん?」
あの髪の色はこの前悠木が見た人の髪の色だ
「この前も走ってたな、あいつ」
かなり急いで走っている。何かから逃げるように
「すみません」
「うおわっ」
いきなり悠木は後ろから声をかけられた
足まで届くほどの髪の長い女の子だった
「黄緑の髪の色をした女の子が来ましたか?」
「あ、はい、女の子かどうかはわかりませんが、さっき目の前通って行きましたよ」
「・・・・・・・・・・ありがとうございます」
「(何だ?今の間は・・・?(汗))」
悠木は女の子が自分を見ているのに気づいた
「何か?」
「・・・強いけど弱いですね、あなたは」
「は?」
「まぁ、まずは記憶を思い出させ、対処法を教え、あとは力に目覚めてくれれば・・・」
悠木は全く状況を分かっていない
「仕方ありません、風華を追いかけるのは諦めましょう」
「風・・華?」
悠木は頭の奥が熱くなるのを感じた
「熱、痛」
「!・・・あなたは風華を知っているの?」
「い、たい。あつ、い」
「なるほど、かなりひどい状態のようね。早く何とかしないと・・・」
あまりの痛みに悠木はもう相手が何を言っているのかわからない
「誰か、助け、て」
「早く始めないといけないようね」
少女は大きく空気を吸い込んだ
少女の腕が光り始めた
「an encounter men's minds in a secret memory now forget thing without ―出会え 人心に秘められし記憶よ そして忘れる事なかれ―」
少女が呪文を言い終えると悠木の頭の痛みは急に消えていった
「ハァッ、ハァッ・・・」
「よし、これでOK」
「ハ、ア」
「私の声が聞こえる?」
少女が問うてきたので悠木は頷いた
「ああ・・・」
返事もしたことに少女は驚きながらも話を続ける
「あと数分もしたらあなたは記憶を思い出す。私の名前は飛龍 白。あなたは?」
「え?」
「・・・名前を聞いてるの。早く答えてくれる?それとも自分の名前まで忘れちゃった?」
「む・・・名前ぐらい覚えてるよ、ってあれ?」
悠木は自分が何か忘れている事に気付いていた。忘れていることが自然に思えるぐらい
「そう。だったら早くしてくれない?」
「南条悠木だよ。これでいいか?」
「・・・・・・・・中々のようね。それと、少しずつだけど貴方の周りは動いている。その事に早く気づかないと貴方は後悔することになるわよ。この言葉を覚えているといいわ」
「?」
「今はわからなくてもいい。それと、家族は大切にしなさいよ。貴方の家族のお陰で貴方は今まで生きてこれたんだから。それじゃあね」
「(結局何だったんだ?あいつは。飛龍白か・・・。多分あいつのおかげで記憶を取り戻したんだと思うけど。また、会うのかな?それとあの女の子の名前は風華、か)」
悠木はまだ気づいていない、この夜の出会いが後に悠木自身そして周りの運命を変えることに
悠木はまだ分からない、この言葉の意味を。言葉の意味を知ったとき、悠木はどうなるのか
―そして動き出す、彼らの、止まっていた時間が―
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